加藤農園
さくらんぼ 人工授粉
☆サクランボの人工授粉☆
 サクランボは、自家不親和性と言う性質があり、一部の例外を除き、自分と同じ品種の花粉では上手く受粉しないと言う特徴があります。

 その為、人や昆虫等により受粉を行う必要があります。サクランボの場合は蜜蜂による受粉をメインに、人間は補助的に受粉しています。

 実はサクランボを栽培する上で、一番難しいポイントになります。

 人工授粉用の花粉の採取法は、梨と同様なので、興味のある方は、梨の花粉採取をご覧下さい。
蜜蜂
人工授粉で使用する道具
毛ばたき 缶 受粉棒
 人工授粉に使用する道具です。左から毛ばたき、中が花粉を入れる缶、右が受粉棒です。毛ばたきは釣り竿みたいに伸縮し最高4m位までのばせます。

 缶の中に採取した花粉を入れるのですが、廃品利用でジュ−スの空き缶などを利用しています。(懐かしい缶ですが・・・) 

 受粉棒は、水鳥の羽毛を使用して作られていて、花粉が効率よく付着して適度に離れるために、人工授粉に適しています。
人工授粉
人工授粉 サクランボの花 人工授粉
 サクランボの花は、雄しべ多数に対して、雌しべは一本しか有りません。写真で黄色いつぶつぶの有る部分が雄しべで、分かり難いのですが、中央に一本だけ薄い黄緑の雌しべがあります。

 雌しべに違う品種の花粉を付けてやるのが、人工授粉ですが、毛ばたきの方は花にこすりつけて花粉を付け、違う品種の花をこする事で受粉を行います。

 一方、受粉棒は採取しておいた花粉を、受粉棒に付けてサクランボの花に付けていきます。花粉を前もって準備する必要がありますが、こちらの方法の方が確実です。写真の受粉棒の先が赤いのは、石松子と言う松の花粉を食紅で着色した、増量剤を混ぜているためです。
蜜蜂
 サクランボの受粉は、人間よりは蜜蜂の方がメインになります。

 加温による促成栽培のため、ハウスの外に花が咲いていない為と、蜜蜂自身がサクランボの花が好きなため、効率よく受粉を行います。

 そして何より、人と違い疲れを知らず朝から夕方まで、さぼらずに受粉を行ってくれます。
受粉の様子
受粉の取材 西日本では、さくらんぼの栽培自体が珍しいため、毎年地元のTVや新聞で、人工授粉の様子が紹介されています。
果実の成長
果実肥大始め 肥大途中の果実 着色始めの果実
生理落果 受粉が成功すると、果実が肥大を始めますが、サクランボなどの核果類(種が一つだけの果実)は、途中で一時的に肥大が止まり、着色前から再び肥大をします。

 核果類は、2回目の肥大の頃に良く、生理落果と呼ぶ現象が起こり、果実が落花するのですが、サクランボの場合生理落果が他の核果類より多く起こります。右の写真で茶色く縮んでいる果実です。

 生理落果の原因は、受粉が不完全なためとか、微量要素(肥料分)の欠乏とか言われていますが、どの程度生理落果が起きるのか、予想出来ないため摘果などの作業が出来ないのが現状です。
 
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